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訪問看護のオンコールとは?オンコールの実際の対応例を含め解説!

訪問看護ではオンコールという仕事があるの?

訪問看護について調べていると、オンコールという仕事があることがわかると思います。

訪問看護のオンコールとは、事業所の利用者さんがいつでも訪問看護師に連絡することができ、必要な場合には緊急訪問をしてもらえるサービスです。

今回は、訪問看護のオンコールについて実際の対応例などを含め解説していきます。

訪問看護への転職を検討している看護師さん、オンコールの具体的な内容を知りたい看護師さんは参考にしてください。

この記事でわかること

  • 訪問看護のオンコールの仕組み
  • 実際にあったオンコールの事例
  • オンコールを担当する際のポイント
  • 当社のオンコール体制

訪問看護のオンコールとは?

訪問看護のオンコールとは、どのようなものでしょうか。

私は病院に勤めていた際には、「オンコール」という業務を聞いたことがありませんでした。

訪問看護に転職し、初めてオンコールという仕事があることを知りました。

オンコールとは、事業所を利用する患者さんが希望する場合におつけることができるサービスです。

このサービスを利用する患者さんは、定期的な訪問以外で体調の変化が生じた際に、いつでも訪問看護師に連絡することができ、必要な場合には緊急訪問を要請できます

このサービスを受けるためには、算定保険上の加算(オプション)が必要です。

緊急時の対応を希望する方には、介護保険では「緊急時訪問看護加算」、医療保険では「24時間対応体制加算」という名称の加算を算定します。

24時間365日いつでも緊急対応ができる体制をもち、かつ重症度の高い訪問看護を提供できる事業所は、都道府県知事に届出を行うことで算定できる加算です。

つまり、事業所が緊急時に対応できる体制が整っており、利用者さんが希望する場合にオンコールという仕事が始まります

オンコールの対応方法とは?

訪問看護のオンコールは、事業所によって対応方法が異なります。

多くの事業所は、利用者さんにオンコール専用の電話番号をお伝えし、体調に変化がある場合や不安に思いことがある際にご相談いただくという方法をとっています。

オンコールの対応は、当番制にしている事業所が多いようですが、管理者がメインで行っている事業所もあります。

当番制の方法も、1日単位で交代する事業所や、1週間単位で交代する事業所もありルールは様々です。

オンコールを持つ看護師さんは、夜間事業所に待機する事業所もありますが、多くは自宅で普段通り過ごしています

もちろん移動する際に自転車や自動車を使用するため、飲酒は控えていただきますが、それ以外はリラックスして過ごしていただいて構いません。

実際にあったオンコールの事例とは?

では、オンコールではどのような対応を行っているのでしょうか。

今回は実際にあったオンコールの事例を2つ紹介します。

事例1:Aさん(80代、女性)

Aさんは脳梗塞後の神経因性膀胱があり、膀胱留置カテーテルを留置しています。

気温の高い時期になり、嚥下機能の低下も見られ水分摂取時のむせがあるため十分な水分摂取が確保できずにいました。

尿性状も徐々に濃くなり、浮遊物も見られていました。

ある日の夜、家族が尿の流出が少ないことに気付き、訪問看護に連絡してくださり緊急訪問を行うことになりました。

訪問看護師が緊急訪問し、状況を確認し膀胱留置カテーテルの異常の確認やミルキングを実施しましたが尿流出は認めず、主治医に報告し膀胱留置カテーテルの交換の指示を受けました。

膀胱留置カテーテルの入れ替えを行うと、やはり浮遊物でカテーテル先端が閉塞している状態で、新たなカテーテルを挿入するとスムーズに尿流出が見られました。

その後の定期訪問時には水分摂取方法をあらためて検討し、嚥下リハビリも開始することで少しずつ水分摂取量を増やすことができました。

事例2:Bさん(70代、男性)

Bさんは不眠があり、夜間睡眠導入剤を服用している利用者さんです。

いつものように就寝前に睡眠導入剤を服用し、ベッドに横になりましたがしばらくしても寝付けずトイレに立った際に転倒してしまいました。

転倒の物音で気が付いたご家族が、訪問看護に連絡してくださり足の痛みの訴えがあるとのことで緊急訪問をすることになりました。

訪問看護師が緊急訪問した際に、大腿部の腫脹、痛みがあり主治医に報告し、骨折の可能性があるため救急搬送するよう指示を受けました。

訪問看護師が救急要請をし、救急隊員に申し送りをして搬送となりました。

オンコールを担当する際のポイント

上記の事例のように、オンコール担当者は緊急での対応を行います。

そのため、利用者さんに対して出されている主治医からの指示や医療機関との連絡方法を把握しておく必要があります

定期的な訪問時に観察した内容から予測される症状については、医療機関の営業時間内に対応方法を確認しておくと良いでしょう。

事前に対応方法について指示が出ている場合には、処方薬などが不足しないか確認しておきます。

必要時には救急搬送の要請を行うこともあります。

救急隊や搬送先の医療機関に申し送りを行うことができるよう、既往歴や服薬状況をどのスタッフでも確認できるよう統一した方法で記録しておくことが望ましいです。

病院に勤務していると救急搬送の要請を行う機会が少なく、経験したことがない看護師さんも多いと思います。

消防局からの案内を参考に、イメージトレーニングをしておくことも重要です。

総務省消防庁 救急お役立ちポータルサイト「救急車利用リーフレット

 

症例によっては、電話相談のみで対応を終了することもあります。

例えば、定期訪問の際にご家族と対応方法やトラブルが生じた際の対応手技を確認しており、訪問に至らずご家族が解決できた場合には電話での対応で終了します。

このように電話対応で解決できた場合にも、その後の経過について再度確認しています。

当社のオンコール体制とは?

当社のオンコール体制は、常勤・非常勤問わず、マイナース制(担当制)のため、すべての看護師が、利用者さん別に担当しています。ステーションごとに体制に若干の違いはありますが、マイナース制を基本として、自身が担当している利用者さんの対応してもらいます。

当社のマイナース制度は、事業所の特徴として記載している通り、利用者さんにとって一番良い環境を整えたいという想いです。今日の夜に、どんな事が起きうる可能性があるのか、それを一番予測できるのは、日中に訪問した看護師です。

交代制のオンコールでは、継続的な視点で判断することが難しく、訪問してみないと分からない、という心配で、出動率が高まってしまう傾向があります。日中に担当した看護師、しかも、継続的に訪問している看護師であれば、おおよその予測が出来ます。結果的に、当社の担当制スタイルでは、他の事業所に比べて出動件数は非常に少ない状況です。仕組みになれてしまえば、マイナース制って大変じゃないの?という事はすぐに払拭できます。

また利用者さんの立場で考えても、大きな事業所の場合、関係性を構築できていない看護師が訪問した場合、「あなた誰だっけ?」という状況になるケースも少なくありません。利用者に寄り添う看護を提供する、という事を追求した結果が当社のマイナース制です。

初めて訪問看護に就職した方や業務に不慣れな間は、しばらくの間は修行期間と位置づけおりますので、主担当ではなく、サブの副担当という役割が多いため、その期間中に先輩看護師がフォローしてオンコール対応方法などを経験していただきます。

そのため、オンコールでの急な判断が必要な場面でも慌てることなく対応することができます。

訪問看護未経験の看護師さんでも安心して働いていただけるよう、当社ではフォロー体制を整えています。訪問看護にチャレンジしてみたいとお考えの方は、ぜひ一度見学にきてみてください。マイナース制の良い部分は、実際に見学の際に、看護師から聞いていただくのが一番です。働く看護師にとっても、利用者さんにとっても、良い仕組みであると信じております。

お問い合わせをお待ちしています。

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