訪問看護に勤める看護師は年々増加傾向で、徐々に認知度も上がってきています。
しかしその反面、「訪問看護はきつい仕事である」というイメージから就職を躊躇してしまう看護師さんも少なくないのではないでしょうか。
今回は、現役訪問看護師である私が「訪問看護はきつい仕事である」と言われる3つの原因を解説します。
これから訪問看護への転職を考えている看護師さんや、訪問看護に興味のある看護師さんはぜひ参考にしてください。
訪問看護はきつい仕事?
訪問看護の仕事は、実際働いてみると「とても簡単な仕事です!」という看護師さんは多くないと思います。
しかし、訪問看護師ができる看護は病院や施設での看護と大きな差はありません。
利用者さんの疾患や状態に合わせてアセスメントし、必要な看護を展開していくことは病院でも在宅でも同じです。
また、点滴やカテーテル管理、褥瘡処置など訪問看護師が行う医療処置についても手技や留置点が異なることもありません。
では、なぜ訪問看護はきつい仕事だと言われるのでしょうか。
訪問看護がきついと感じる原因とその解決策は?
実際に訪問看護で働き、訪問看護の仕事がきついと感じた大きな原因は以下の3つであると考えます。
- 急変やオンコールに看護師1人で対応すること
- 利用者さんだけでなく家族への配慮も必要であること
- 移動やケアに体力が必要であること
これら3つの大きな原因とその解決策について、訪問看護の実際を踏まえ解説します。
急変やオンコールに看護師1人で対応すること
私が訪問看護に勤めて最初に「きつい」と感じたのは、急変やオンコールに1人で対応することです。
在宅療養をする利用者さんも、病院や施設と同じく急変が起こり得ます。
利用者さんの病状に変化が生じた際には、どの程度の変化なのかを情報収集し医療機関に情報提供をする必要があります。
また、医療機関からの指示を十分に把握し、現場でできる対処は行います。
咄嗟の判断や的確な医療処置を完璧にこなす知識や技術がなければ、訪問看護はできないと感じていました。
しかし、実際は全てを完璧にこなす知識や技術をあらかじめ身につけていなければいけないわけではありませんでした。
訪問看護師は1人で訪問しますが、決して1人で全てを判断するわけではないのです。
判断に迷うときには、管理者や先輩看護師に相談することができます。
また、主治医の先生へさまざまな方法で連絡をとり、対処方法について相談することが可能です。
訪問看護での急変やオンコールでの対応は、いくつも症例を看て積み重ねることで培われるものです。
いきなり1人で全ての対応をできる看護師さんは、滅多にいません。
日々のオンコール対応の申し送りやカルテの訪問看護記録の内容、カンファレンスでの先輩看護師の持ち出す話題などにアンテナを張っておくのが習得の近道です。
焦らず一つずつ自分の引き出しを増やしていくと、「あの頃はこれがきつかったなぁ」と懐かしく振り返る日が来ます。
利用者さんだけでなく家族への配慮も必要であること
訪問看護で重要なことは、利用者さんへの看護の提供だけではありません。
利用者さんを介護する家族の介護状況や、介護負担の大きさにも着目して介入を行っています。
また、利用者さんの療養に関するこだわりや家族が長年行ってきた介護方法が、看護師から見て効率性や有効性に不足があるとしても真っ向から否定するような対応は行いません。
まずは利用者さんや家族が大切にしている考え方を受け止め、関係性を築きながら適切な介護を実施できるよう導く必要があります。
利用者さんを取り巻く支援者とのやりとりに配慮が必要となるため、対応方法に迷いが生じることもあり「きつい」と感じてしまうこともあるかもしれません。
このような場合には、まずは傾聴する姿勢をもち、対応に迷う場合には事業所の管理者や同僚とどのような対応をしていくか話し合うことが大切です。
管理者や同僚と意見交換し、統一した対応を行うことでチームとしての看護を提供することができます。
看護師一人一人が異なる人間であるように、利用者さんや家族もそれぞれの考えがあり、性格や表現の仕方もさまざまです。
利用者さんや家族への対応で行き詰まる前に、積極的に仲間に相談し1人で抱え込まないことが解決に向けて大切なことと言えます。
移動やケアに体力が必要であること
訪問看護では、地域や事業所により移動方法が異なります。
自動車で訪問する場合には、運転技術も必要となり運転に不慣れな方や知らない土地である場合にはストレスとなることがあります。
利用者さんの居宅では駐車スペースが狭い家もあり、駐車する際に緊張してしまい精神的に疲れてしまうという方もいると聞きます。
また、自転車やバイクでの移動を採用している事業所もあり、天候が悪い日には荷物が多くなってしまうことや坂道が多い地区では移動に体力を使うこともあります。
いずれにしろ訪問看護の1日の流れや移動に慣れるまでは「きつい」と感じてしまうこともあると思います。
そのような場合には、無理のない訪問件数の設定や訪問時の移動方法の工夫などを管理者と相談してみると良いでしょう。
無理のないペースで訪問看護に慣れることができるよう、自身が「きつい」と感じる点は積極的に事業所内で共有していくことをお勧めします。
訪問看護は慣れるまでがきついが「やりがい」も大きい
訪問看護がきつい仕事であると言われる3つの原因について解説しました。
訪問看護は、慣れるまでは「きつい」と感じることもあると思います。
しかし、業務のパターンや対応方法のバリエーションを身につけることで乗り越えられることがほとんどです。
まずはこの「きつい」と感じる山を乗り越えられるまで、無理のないペースで仕事をすることが重要です。
「きつい」と感じる点は、人それぞれであり表出しなければ対策を立てることもできません。
管理者や先輩看護師も同じ道を辿ってきた同志でもあります。
ぜひ遠慮せずに相談しながら、訪問看護を楽しんでみてください。
「きつい」と感じるその先には、利用者さんの心からの笑顔や人生の大切な節目の関わりを通して大きな「やりがい」を得られることと思います。
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