情報発信

訪問看護で医療保険が優先となる疾患とは?

訪問看護では、医療保険または介護保険を使ってサービスを利用いただきます。

適用になる医療保険と介護保険は、いろいろなルールのもとで分別されます。

今回は、訪問看護で医療保険が優先となる疾患について解説します。

当社に訪問看護をご依頼いただくケアマネジャーの皆様や、医療相談員の皆様はぜひ参考にしてください。

 

訪問看護の利用時の基本ルールとは?

訪問看護を利用する際には、医療保険と介護保険を使って算定します。

訪問看護の対象には年齢制限がなく、主治医から訪問看護指示書が交付されていればどなたでもご利用いただくことができます。

基本的には要支援または要介護の介護認定を受けている場合には、介護保険を優先してサービスを提供します。

しかし、介護認定を受けていない場合や、一部の疾患を抱える患者さんに対しては、医療保険が優先される場合もあります。

 

訪問看護で医療保険が優先となる疾患とは?

 

訪問看護では、厚生労働大臣が定める疾患等(別表第7)に該当する場合には、医療保険でサービス提供を行うよう定められています。

厚生労働大臣が定める疾患等(別表第7)とは、以下の19疾病と1つの状態を指します。

 

厚生労働大臣が定める疾患等(別表第7)
  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって、生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る)
  • 多系統萎縮症(線条体黒質変性症,オリーブ矯小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソーゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋委縮症
  • 球脊髄性筋委縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

 

上記の別表第7に該当する疾患を抱える利用者さんは、要支援や要介護の認定をされていても医療保険が優先されます。

また、医療保険での訪問看護は基本的には1日1回、週に3回までというルールがあります。

しかし、別表第7に該当する疾患の場合にはその制限が外れ、1日3回、週4日以上の訪問が可能になります。

上記の疾患は医療依存度や重症度が高く、頻回な訪問看護の提供を必要とする場合があるためです。

 

医療保険が優先となる場合の注意点は?

医療保険が優先となる別表第7に該当する疾患の場合には、訪問看護指示書に疾患を記載する際の注意点があります。

訪問看護指示書の記載時には、以下のような点に注意して記載を依頼しています。

 

訪問看護指示書の記載時の注意点① がん末期

 

どの部位のがんでも、訪問看護指示書にがん末期の記載がある場合には医療保険が優先となります。

しかし、末期の記載がない場合には、介護保険が優先となります。

末期以外にも、ターミナル期、終末期という記載や、病状から末期と判断できる内容が記載されていることでも末期と同じ扱いになります。

がんを抱える患者さんの年齢層は幅広く、治療の経過もさまざまです。

年齢によっては介護保険と医療保険で自己負担額が大きく異なってしまうこともあり、利用する保険は重要です。

 

がん末期とは?

がん末期とは、「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不能と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」とされています。

「治療困難」とは、「概ね6月間程度で死が訪れると判断される場合を指す。なお、現に抗がん剤等による治療が行われている場合であっても、症状緩和等、直接治癒を目的としていない治療の場合は治癒困難な状態にあるものとする。」と示されています。

末期の判断は主治医が行うものであり、末期状態を含む疾患名は交付された訪問看護師指示書を確認する必要があります。

引用 厚生労働省『「がん末期」を特定疾病に追加することについて(案)

 

訪問看護指示書の記載時の注意点② パーキンソン病

 

パーキンソン病の場合には、「ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって、生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る」というルールがあります。

そのため、訪問看護指示書にもホーエン・ヤールの重症度分類及び生活機能障害度の記載が必要です。

ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であり、生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度の場合には、指定難病受給者証の申請を行うことができます。

そのため、指定難病受給者証の交付を受けている場合には、訪問看護も医療保険で利用することになります。

参考 厚生労働省「指定難病の要件について

 

まとめ

 

今回は、訪問看護で医療保険が優先となる疾患について詳しく解説しました。

訪問看護は医療保険と介護保険を利用する複雑な制度があります。

今後も引き続き訪問看護の制度について情報発信を行っていきます!

また、当社では、医療保険に該当する重症度の高い患者さんのご依頼も積極的に受け入れさせていただいております。

在宅療養でお困りの患者さんや、退院を控えている患者さんの訪問看護は、ぜひ当社にお任せください!

関連記事