訪問看護を利用する際には、主治医からの訪問看護指示書の交付が必須です。
訪問看護指示書には、その利用者さんが抱える主疾患の記載があり、訪問看護師はその主疾患を含めた利用者さんの全人的なトラブルやリスクに対し看護サービスを提供します。
今回は、訪問看護で多く見られる疾患について解説します。
訪問看護の利用を検討している方や、訪問看護を利用する方の疾患についてお調べの方はぜひ参考にしてください。
訪問看護で多い疾患とは?
公益財団法人日本訪問看護財団による「訪問看護の現状とこれから 2023年版」によると、訪問看護ステーションの利用者傷病別内訳は以下のようになっています。
- 脳血管疾患12.9%
- 認知症(アルツハイマー病含む)8.9%
- 悪性新生物8.5%
- 筋肉骨格系8.4%
- 統合失調症5.8%
では、各疾患について詳しく見ていきましょう。
最も多い脳血管疾患
脳血管疾患は、訪問看護を利用される方の最も多い疾患です。
脳梗塞や脳出血があげられます。
具体的には、脳梗塞後の服薬管理や再発防止におけるケア、リハビリテーションなどを行います。
日常的な血圧の変動を観察し主治医と情報共有を行ったり、食生活や嗜好によっても再発リスクは高まるため、看護師による栄養指導を行うこともあります。
訪問看護では2位の認知症(アルツハイマー病含む)8.9%
超高齢化社会の現代では、認知症を抱える利用者さんはとても多くいらっしゃいます。
認知症の予防や、状態に合わせた体調管理の方法を提案しています。
また、認知症介護に初めて携わるご家族への支援や、独居の利用者さんの場合には遠方に住むご家族への報告を行うなどご本人だけでなくご家族も安心して過ごせるように関わっています。
認知症を抱えていてもその方が望む生活を継続できるよう、精神面の支援もとても重要な関わりです。
死因別死亡確率が最も高い悪性新生物
厚生労働省による死因分析によると、悪性新生物は死因別死亡率が最も高い疾患ということがわかります。
がんの利用者さんの中でも、治療を行っている方や末期状態で緩和ケアが必要な方も多くいます。
また、悪性新生物と言っても、発生した部位により症状は様々であり、症状の感じ方も利用者さんによって異なります。
訪問看護では、主治医と連携を図りがんによる症状を最小限にできるよう支援しています。
在宅での看取りを希望される場合も多く、ご本人にとって最良の時間を過ごすことができるよう全力で支援にあたります。
リハビリでの利用も多い筋肉骨格系
整形疾患も訪問看護では多い疾患に当たります。
転倒による圧迫骨折や大腿部頸部骨折などを主疾患として抱える利用者さんに対し、リハビリテーションや痛みのコントロール、日常生活の援助を行います。
筋肉骨格系の疾患を機に介護が必要となる利用者さんもいるため、家族への介護指導を行うこともあります。
リハビリ職のスタッフと共に、福祉用具の選定を行うこともあります。
精神科訪問看護で利用される統合失調症
精神科訪問看護では、統合失調症の症状コントロールを行うために介入することが多くあります。
服薬の継続により心身の状態を維持し、社会生活に復帰できるよう支援しています。
また、看護師の介入により状態の変化に早期に気づくことで、入院に至るまでの悪化を防ぐこともできます。
訪問看護は重い疾患でなければ利用できないのか?
訪問看護は、重症の疾患はもちろんのこと、現在は体調が安定しているが今後の体調変化に不安があるという方や、体調管理にサポートが必要な方でもご利用いただけます。
今回挙げた疾患以外にも、訪問看護を利用される方が抱える疾患は多岐にわたります。
また、一つの疾患だけでなく複数の疾患を抱え治療を行っている方も数多く見られます。
訪問看護を利用するには、前述した通り主治医の交付する訪問看護指示書が必要です。
しかし、利用にあたっての疾患の制限はないのです。
そのため、私たちの支援は病気の重さではなく、「日常生活でお困りのこと」に焦点を当てています。
疾患にとらわれず、日常生活でお困りのことがある方は、ぜひ訪問看護に一度ご相談ください。
まとめ
今回は、訪問看護で多く見られる疾患について解説しました。
訪問看護を利用されている方の疾患に、ご自身やご家族、担当する利用者さんに当てはまる疾患はありましたでしょうか。
このように、全国の訪問看護では、様々な疾患や状態の方が利用をされています。
重い症状の疾患でも、安定した症状の疾患でも、訪問看護の対象となります。
もし今後の体調に不安がある場合や、日常生活でお困りのことがある場合には、ぜひ当社までご連絡いただければと思います。
皆様からのお問い合わせをお待ちしています!