訪問看護における予防訪問看護とは、要支援の方に提供する訪問看護を言います。
要支援の利用者さんは自立度も高く、訪問看護は不要ではないかと考える方もいるのではないでしょうか。
今回は、訪問看護における予防訪問看護について詳しく解説していきます。
要介護の利用者さんの訪問看護について利用を検討しているケアマネジャーさんは、ぜひ参考にしてください。
訪問看護における予防訪問看護とは?
訪問看護における予防訪問看護とは、要支援1および2の認定を受けた利用者さんに対し行う訪問看護を言います。
要支援の利用者さんは主に地域包括支援センターのケアマネジャーさんが担当されていることが多いですが、要支援2の一部の利用者さんは居宅介護支援事業署のケアマネジャーさんが担当されていることもあります。
実際に全国の予防訪問看護を受ける利用者さんは、以下のように推移しています。
要支援の方は、日常生活は概ね自立しているが一部動作に見守りや介助を要する状態であり、訪問看護についても自立を促す内容を行うことが多いです。
厚生労働省 社保審-介護給付費分科会第182回(R2.8.19) 「訪問看護」より引用
では、予防訪問看護で行う訪問看護サービスとは、どのようなものでしょうか。
実際の具体例を挙げて解説します。
予防訪問看護で行う訪問看護サービスとは?
体調の観察
要支援の利用者さんは、症状が出現していなくても悪化した際には重篤となる危険性のあるさまざまな疾患を抱えていることが多いです。
心疾患や脳血管疾患など、体調管理が重要となる疾患も多くみられます。
そのため、看護師による体調確認だけでなく利用者さん自身が疾患を理解し自己管理していくことが重要になります。
訪問看護では、利用者さんが自ら体調管理を行うことができるよう支援しています。
健康維持に向けた服薬管理
体調を維持していくためには、服薬による治療の継続が必要となることがあります。
複数の疾患を抱える利用者さんも多く、服薬管理が難しいと感じている方もいます。
訪問看護では、服薬のたびに訪問することは難しいため、どうすれば自己管理が可能かを利用者さんとともに検討します。
要支援の利用者さんは自立度が高く、服薬しやすい方法を提示することで自己管理が可能となることもあります。
服薬に関しても、体調管理と同様に自立を目的としての支援を行います。
介護予防に向けたリハビリテーション
予防訪問看護の場合にも、介護予防を目的としたリハビリテーションは大変役立ちます。
体調管理や服薬管理のために看護師が訪問した際にリハビリテーションを行うことや、理学療法士などのセラピストが訪問してより専門的にリハビリテーションを行うこともあります。
運動不足を指摘されている利用者さんの場合、自室内でのリハビリテーションから行い、体力がついてきたところでデイサービスなどの通所型サービスへ移行することもあります。
リハビリテーションで指導した機能訓練を日常生活に取り入れることで、活動範囲が広がり訪問看護の利用を卒業される方もいます。
病状悪化時に備えた意思決定支援
難病の診断を受けたり、進行性の疾患を抱えている利用者さんの場合には、現状では日常生活動作は自立しているという方も多くいらっしゃいます。
しかし、今後疾患の進行に伴い日常生活に介助や支援を要することが見込まれる場合には、訪問看護の介入時に「今後どのように生活したいか」「希望する療養場所はどこか」など意思決定支援を行っています。
疾患の進行を理解している訪問看護として、必要な情報提供も行います。
体調が悪化してから慌てて情報収集を始めると、意思決定をする際にも十分な時間を確保できないということもあり得ます。
そのため、進行性の疾患がある場合には訪問看護を要支援の段階から介入させていただくとお役に立てると思います。
緊急時の対応
要支援の利用者さんは自立度が高い分、転倒のリスクが伴うことや、体調変化時に無理をしてしまうこともあります。
要支援の利用者さんでも訪問看護の緊急対応を行うことができるため、いざというときに看護師に相談することが可能です。
特に独居の利用者さんは、夜間や土日祝日などに体調不良を起こすと「どこに連絡していいかわからない」とのお話をよく耳にします。
普段は元気で自立度の高い利用者さんでも、ぜひ一度訪問看護の利用を検討してみてくださいね。
まとめ
今回は、訪問看護における予防訪問看護について詳しく解説しました。
当社では要支援1および2の利用者さんの訪問看護も、健康維持を目的として訪問看護を利用されている方がたくさんいらっしゃいます。
要支援の認定が下りていても、日常生活の困りごとは人によって異なります。
「こんな場合には訪問看護のサービスを使えるのかな?」とお悩みのケアマネジャーさんはぜひ一度、ご相談いただければと思います。
ご連絡をお待ちしています!