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訪問看護では認知症ケアを提供しています

訪問看護では、点滴などの医療的な処置、清拭やシャワー浴などの清潔ケアだけでなく認知症を抱える利用者さんへの支援も行っています。

今回は、訪問看護での認知症ケアについて詳しく解説していきます。

訪問看護での認知症の利用者さんへのケアについてお調べの方は、ぜひ参考にしてください。

訪問看護での認知症ケアとは?


厚生労働省「在宅医療(その4)」29.11.15より引用

訪問看護では、基本的に介護保険をお持ちの方は介護保険を優先して使用するサービスです。

訪問看護を利用する方の年齢層は、60歳代以上の方が半数以上を占めており、認知症を抱える利用者さんも多くいらっしゃいます。

では、訪問看護での認知症ケアは具体的にどのように行われているのでしょうか。

次項より具体的な訪問看護での認知症ケアの取り組みについて解説していきます。

 

身体状況の正確な把握

認知症を抱える利用者さんは理解力や判断力の低下により「自身に起こっている症状を他者に伝えることができない」という状態が見られることがあります。

認知症以外の複数の疾患を患っていることも多く、病状の変化に注意を払い観察する必要があります。

訪問看護では、認知症の方の特徴を踏まえ、全身状態の観察を行います。

バイタルサインだけでなく、生活状況の変化やご本人の言動についても状態変化を察知し考察することで、異常の早期発見に努めます。

このように身体状況の正確な把握により、在宅で体調を維持して生活できるよう支援しています。

不足しがちな栄養面も併せて観察し、体調を維持するために必要な食事に関する介入も行います。

認知症の進行に合わせた服薬管理

認知症の進行を遅らせるために処方されている服薬は、極力確実に服薬できるように介入しています。

利用者さんを取り巻く環境や支援の状況も加味し、その方に合った服薬管理を行います。

1週間分のお薬カレンダーで管理が可能な場合や、1日ずつ手渡しが必要な場合など認知症の進行により支援の程度は様々です。

また、これまで自身で行ってきた服薬管理の方法を変えることで大きく混乱をきたす場合もあり、繊細な関わりを要します。

訪問看護では、利用者さんの希望を十分に聴取し、ご本人の自尊心を尊重しながらケアにあたるよう心がけています。

リハビリテーションや運動によるADLの維持

認知症の利用者さんは、活動の範囲が縮小してしまう傾向にあります。

在宅で自身の体力や動作を維持して生活するためには、他者の働きかけが必要な場合もあります。

私たち訪問看護では、在宅生活の維持を目的としたリハビリテーションや運動も取り入れて支援しています。

必要な場合には理学療法士等の専門職によるリハビリテーションの提供も可能です。

一時は自宅にこもりがちになってしまった利用者さんも、訪問看護師や理学療法士の関わりでデイサービスの利用につなぐことができた事例も数多くあります。

自身で難しくなったセルフケアの支援

認知症が進行すると、入浴が億劫になってしまったり、排泄時の汚染に気づくことが難しくなる場合もあります。

訪問看護では、そのような自身で難しくなったセルフケアに関しても支援しています。

その際には、利用者さんの羞恥心への配慮は十分に行い、苦痛に感じることのない支援が受けられるよう関わっています。

「昔からお風呂は好きだけど、だんだん自分でお風呂に入らなくなった」とご家族が話される認知症の利用者さんがいらっしゃいました。

看護師の促しで久しぶりの入浴を行った際には、爽快な笑顔で私も気持ちよく感じる瞬間でもありました。

精神面への支援

認知症と診断された利用者さんは、認知力にむらがあることが多く今までの自分とできなくなったことが増えた自分を比較し落ち込んでしまうこともあります。

また、認知症の理解が十分でない他者との関わりで傷ついてしまうこともあります。

訪問看護では、利用者さん本人ができることを維持する関わりにより自己肯定を促すとともに、精神面の支援も行っています。

また、精神面の安定に向け生活リズムを整え、十分な休息を得られるようご家族と共同して関わっています。

認知症の症状により精神症状が不安定になる場合には、医療機関と連携を図り服薬による調整も検討していただくこともあります。

家族介護負担の軽減を図る支援

認知症の利用者さんを支えるご家族の介護負担は、身体的なもののみでなく精神的にも大きく感じられます。

これまでできていたことが徐々にできなくなる利用者さんを見て、ご家族も同様に戸惑ってしまうことや辛く感じてしまうこともあります。

訪問看護では、認知症の利用者さんのご家族へ、より介護がしやすい方法をご家族の無理のない範囲でお伝えしています。

同じことを繰り返しお話しされる利用者さんに、イライラしてしまうというご家族もいらっしゃいます。

その際には、利用者さんが繰り返しお話しされることがご本人にとって重要なことである可能性が高い旨をお伝えし、ともに利用者さん自身の思いを理解できるよう関わります。

「なぜこの人はこのような言動をしているのか」を一緒に考え理解することで、日々の介護に対する心理的な負担が軽減することがあります。

このように、訪問看護では利用者さんだけでなく介護にあたるご家族も含め、包括的に支援を行っています。

まとめ

今回は、訪問看護における認知症ケアの実際について詳しく解説しました。

訪問看護では、以下のような内容で認知症ケアを行っています。

  • 身体状況の正確な把握
  • 認知症の進行に合わせた服薬管理
  • リハビリや運動によるADLの維持
  • 自身で難しくなったセルフケアの支援
  • 精神面への支援
  • 家族介護負担の軽減を図る支援

超高齢化社会となった現在、認知症の利用者さんはますます増加していくことが予測されます。

地域に住まう高齢の利用者さんや介護を行うご家族が、安心して在宅生活を継続できるよう訪問看護を活用いただければ幸いです。

認知症の方への支援を希望される方や、具体的にどのような支援を受けられるのか知りたい方は、ぜひ当ステーションまでお問い合わせください。

お一人お一人に合った訪問看護の利用方法をご提案させていただきます。

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