訪問看護での勤務経験がない場合、訪問看護を利用する利用者さんの対象年齢についてはイメージしにくいことがあると思います。
私も訪問看護で働く前には、「在宅療養をしているのは高齢者の方が多いだろう。」と漠然としたイメージしか湧かなかったのを覚えています。
実は、訪問看護は0歳から100歳を超える方まで幅広い年齢層の方が利用しています。
今回は、訪問看護が対象となる年齢について詳しく解説していきます。
訪問看護で働いてみたいと考えている看護師さんは、ぜひ参考にしてくださいね。
訪問看護が対象となる年齢とは?
令和4年度厚生労働省委託事業在宅医療関連講師育成事業研修会「総論⑩ 訪問看護の対象者の理解」より引用
訪問看護では、さまざまな年齢層の方が利用して在宅療養を行っています。
厚生労働省が公表している集計によると、65歳以上の利用者さんが全体の8割以上を占めています。
令和4年度厚生労働省委託事業在宅医療関連講師育成事業研修会「総論⑩ 訪問看護の対象者の理解」より引用
しかし、若年層が多い小児訪問看護や精神科訪問看護の利用者数も、年々増加傾向となっており訪問看護の利用者年齢層は幅広いことがわかります。
では、それぞれの年齢別に見た訪問看護は、どのように行われているのでしょうか。
事項より年齢層別に解説していきます。
0歳から18歳までの小児期の訪問看護

出生時の異常や疾患、障害を抱える乳幼児が退院し在宅での療育を行う際には、訪問看護の支援を必要とする場合があります。
また、その発達過程でもハビリテーションや、医療機器の管理を行うため看護師や療法士が在宅で関わるケースがあります。
小児期の訪問看護では、対象となる患児だけでなく、育児をする両親や兄弟の生活状況も踏まえて支援していく必要があります。
特に人工呼吸器や気管カニューレ、在宅酸素、経鼻胃管、胃ろう、腸ろうなど医療的ケアが必要な状態での在宅生活においては介護者の不安や緊張も高まります。
訪問看護では、疾患や障害を抱える患児を取り巻く家族を包括的に支援し、先々に起こり得る問題をともに解決していきます。
小児期の訪問看護では、医療機関や保健所、福祉サービスとの連携が必要となります。
また、学童期には学校との連携も必要となるため、細やかな連絡調整を行います。
小児訪問看護は受け入れをしていない事業所もあるため、小児訪問看護に関わりたいと考えている看護師さんや療法士さんは事業所選びの際に情報収集してみてくださいね。
18歳から65歳までの成人期の訪問看護

成人期の訪問看護では、精神障害や身体障害の利用者さんも多くいます。
中には難病を抱える利用者さんもいるため、病状の進行に合わせた支援を必要とされます。
訪問看護では、病状によって必要となる医療機器の管理や服薬管理、生活に必要な保清、排泄の支援も含め関わっていきます。
進行性の難病を抱える利用者さんにおいては、病状の進行により治療の選択が必要となることもあります。
そのような場合には、訪問看護師による意思決定支援や情報提供を行い、利用者さんがより良い選択ができるよう介入しています。
成人期の精神科訪問看護では、服薬管理や継続的な治療により病状の安定を図り、自立や社会復帰を目指します。
在宅療養の中では精神症状の波が生じることがありますが、訪問看護師の関わりにより入院をするまでに至らず治療が行えることもあります。
どのような疾患や病状であっても、療養する利用者さんには社会的な役割や家族との関係があります。
例えば小さな子どものいる利用者さんは、病人ではなく父という役割があります。
また、病気を抱えていてもこれまで勤めていた会社で働き方を変えて社会人としての役割を継続する方もいます。
このように、成人期の訪問看護ではさまざまな疾患や病状を抱えながらも社会生活が継続できるよう支援しています。
65歳以上の老年期の訪問看護

最も多い年齢層である老年期の訪問看護では、複数の疾患を持っていることも多く診療科の垣根を持たずに支援していく必要があります。
高齢者の特徴であるように、複数の疾患により合併症を起こしやすいことや、薬剤の作用が現れにくいこと、また治癒までの時間がかかることを踏まえて看護を提供していきます。
また、年齢を重ねるにつれ外出の機会が減り、孤立化してしまう方も少なくありません。
訪問看護では、適切な治療の継続により病状の安定を図り、社会とのつながりが持てるよう支援しています。
近年では老老介護をする家庭も増え、介護者の健康維持も大きな課題の一つといえます。
利用者さんだけでなく、長期間の介護を担う介護者への配慮や他職種との連携により介護負担の軽減につながるよう介入しています。
在宅看取りを希望する方も増加傾向にあり、最期まで自分らしく生活ができるよう主治医と連携を図りながら利用者さん、家族を丁寧な看護で支援します。
訪問看護は対象年齢に合った幅広い看護を提供している

今回は、訪問看護が対象になる年齢について詳しく解説しました。
訪問看護は、幅広い知識や技術を駆使して臨機応変に対象年齢にあった対応をしています。
しかし、どんなに病院や施設での看護経験があっても訪問看護の現場では戸惑ってしまうことも少なくありません。
このような応用力は訪問看護の1例1例の経験とともに蓄積されるものであり、訪問看護師は事業所のチームとともに成長していきます。
未経験訪問看護師であっても、先輩看護師と相談してともに看護を提供していきますので心配せずに訪問看護にチャレンジしてみてください。
当社では幅広い年齢層の利用者さんへ訪問看護を提供しています。
ぜひ一度、実際の現場を見学に来てみてくださいね。
あなたからのご連絡をお待ちしています。