新着情報

訪問看護の点滴の実際とは?【後編】点滴に必要な指示書や投与方法を解説!

訪問看護で点滴を実施する際にはどのような方法がありますか?

在宅医療の現場でも、病院や施設と同じく点滴や注射での治療を行います。

在宅での看護経験がない看護師さんは、上記のように疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。

今回は、訪問看護の点滴の実際について前編に引き続き詳しく解説します。

「訪問看護で働いてみたいけど、どんな仕事をしているか想像できなくて不安。」という看護師さんも、この記事を読んでいただけるとイメージが湧くと思います。

訪問看護に興味のある看護師さんは、ぜひ参考にしてください!

 

この記事は後編です!

前編をまだご覧になっていない方は、ぜひ前編からお読みいただけるとより詳しく訪問看護の点滴の実際を知ることができます!

訪問看護の点滴の実際とは?【前編】点滴に必要な指示書や投与方法を解説!

 

訪問看護で行う点滴の方法とは?

訪問看護で行う点滴は、静脈注射点滴、皮下点滴、中心静脈栄養法があります。

使用する物品や、手技に関する留意事項は病院や施設で行うものと変わりありません。

では、在宅での点滴ではどのような特徴や違いがあるのでしょうか。

点滴の種類ごとに解説します。

静脈注射点滴における在宅での特徴や留意点

体調の変化などにより治療を行う際には、静脈内へ投与する注射や点滴の指示が出ることがあります。

前項でお伝えした在宅患者訪問点滴注射指示書を用いて薬剤の確認を行い、安全に実施できるよう準備します。

どの点滴実施でも共通しますが、点滴架台がない場合の方が多く、自宅の鴨居やラックなど安定して掛けられる場所にハンガーやS字フックを使用して点滴を設置することもよくあります。

訪問時間内で終了できる内容の点滴の場合には、症状出現の有無を観察しながら行います。

長時間かけて投与する必要がある薬剤の場合には、ルートの自己抜去や転倒を予防するためルートの配置に工夫が必要です。

また、実施中に起居することやトイレへ歩行することも考慮し、ルートを確保する血管を選びましょう。

家族が見守りを行う場合には、具体的な異常時の注意点を十分に説明し、緊急時に備えます。

家族は医療従事者ではないことを前提に、わかりやすい説明を行い必要時にはすぐに対応できる体制があることをお伝えして、不安が最小限になるよう関わることが大切です。

皮下点滴における在宅での特徴や留意点

病院や施設での勤務では、皮下点滴を実施したことのない看護師さんも多いのではないでしょうか。

在宅では、末梢ルートが確保できない場合や緩徐に補液する場合に皮下点滴を選択することもあります。

皮下点滴は、腹部や大腿部、背部などにサーフローを留置し緩徐に点滴を行います。

皮下点滴では投与できない薬剤もありますので、主治医からの指示の確認をしっかりと行い準備するようにします。

また、浮腫が強い利用者さんへの皮下点滴は留置部位を慎重に選択し滴下速度が早くならないよう固定にも留意しましょう。

皮下点滴は時間をかけて行うことが多く、投与中の家族の見守りも長くなることが予測されます。

安全に実施できるようルートは利用者さんの視覚に入らないよう配置するなど、可能な限り工夫を行います。

皮下点滴は抜去しても出血を伴うことが少なく、見守りをする家族も慌てずに対処できることがメリットでもあります。

また、長時間の点滴ルートによる拘束時間の延長で利用者さんの認知症状の悪化などの精神面への影響も懸念されます。

訪問看護では点滴実施中や前後の状況をこまめに観察し、利用者さんや家族の希望を聴取し主治医と共有する重要な役割も担います。

安全はもちろんのこと、利用者さんにとって安楽な生活を維持できるよう訪問看護は関わっていく必要があります。

日本緩和医療学会による資料も参考になりますので、ぜひご一読いただければと思います。

 

中心静脈栄養法における在宅での特徴や留意点

在宅で療養される利用者さんの中には、中心静脈栄養法を行う方もいます。

在宅で中心静脈栄養法を行うことを、在宅中心静脈栄養法(HPN:home parenteral nutrition)と言います。

体外式カテーテルを経由して薬剤を投与する場合や、皮下埋め込み式カテーテル(CVポート)を造設されている方もいます。

末梢穿刺中心静脈カテーテル(PICC)にて薬剤を投与する場合もあります。

いずれも在宅用の携帯型輸液ポンプを用いることが多く、機器の取り扱いについても知識を持っておくことが必要です。

また、定期的な刺入部の消毒やカテーテル管理を要するため、訪問看護の適切な頻度の訪問スケジュールを計画しておきます。

感染症のリスクはどの中心静脈栄養法でも同じく続きますので、刺入部の異常やバイタルサインの変化には十分に注意して観察します。

処方された輸液バッグの交換を、家族が実施する場合があります。

家族への十分な説明と理解度に合わせた療養指導は、訪問看護が中心となって行います。

全介助の利用者さんの場合には、訪問介護事業所のヘルパーさんが関わることもあります。

機器のアラームが鳴った際の連絡方法や、異常時の対応など共有し家族や訪問介護事業所のヘルパーさんと共に管理していけるよう連携を図ります。

訪問看護の点滴では状況に応じた安全管理を行う

在宅でも病院や施設と同じように、点滴による治療を行うことは珍しくありません。

また、在宅だから清潔不潔の概念が変わるということもありません。

環境が違っても、安全安楽に実施できるよう支援します。

病院や施設と異なる点は、常に看護師がすぐに近くにいる状況ではないという点です。

訪問看護で点滴を実施する際には、投与内容によって一時看護師が利用者さんの自宅から離れる時間ができることもあります。

看護師が離れている際にも安全に点滴が実施できるよう、利用者さんの療養環境や認知力、家族の介護力に合わせた工夫を行う必要があります。

時には他職種との連携により安全を確保する必要も出てきます。

まとめ

今回は、訪問看護の点滴の実際について解説しました。

 

  • 訪問看護で行う点滴は、静脈注射点滴、皮下点滴、中心静脈栄養法の3種類
  • 静脈注射点滴は、生活動作に配慮して血管を選び留置する
  • 皮下点滴は、留置する部位の皮膚状態をよく観察する
  • 中心静脈栄養法は、他職種や家族への情報共有を十分に行い管理する
  • いずれも共通して療養環境や認知力、介護力など総合的に考察して安全に実施する

 

訪問看護では、さまざまな年齢や疾患、療養環境の利用者さんがいます。

点滴の実施についても、実施する手技は共通していても一人一人安全な方法は異なります。

重要なのは、利用者さんを広い目で観察して危険因子を可能な限り取り除くことです。

安全で確実な方法で点滴を実施することで、利用者さんにとって有益な治療を行うことができます。

利用者さん一人一人に合ったオーダーメイドの療養ができるよう、私たちと一緒に訪問看護師として力を発揮してみませんか?

日本看護サービスでは、訪問看護師として働いてくださる看護師さんを募集しています。

訪問看護に興味のある看護師さんは、ぜひ一度見学にいらしてくださいね。

関連記事